研究会ブログ
講演レポート2025.11.18
2025年マスターメンバー認証講演レポート | Greenfield CAD Techniqueに学ぶ拡大治療の長期安定性 〜青鹿 昌純先生
1997年にLevel IIおよびLevel IIIコースにて、Dr. GreenfieldからCADテクニックを学んで以来、私にとってこの治療法は臨床の大きな転機となった。
大学時代にTweed法を基礎として学んでいた私にとって、CADテクニックは従来の治療概念から大きく逸脱するものではなく、力のコントロールを重視した合理的な方法として自然に受け入れることができた。
GMD(Greenfield Molar Distalizer)は、上顎第一大臼歯を歯体移動で遠心移動できる優れた装置であり、適切な症例選択のもとでは10mm以上の遠心移動も可能である。
また、リップバンパーの使用により近心傾斜している下顎第1・第2大臼歯をアップライトさせることができ、さらに弱いClass IIIエラスティックを併用することで、セカンドオーダーベンドを与えたかのような効果を得ることができた。
これらの組み合わせにより、効率的かつ予測性の高い歯の移動が可能となる。
矯正治療における歯の移動の基本的な考え方は変わらないが、拡大に対する見解は大きく変化してきた。
当時も今も、「拡大」は“安定しない”という否定的な評価を受けやすいが、Greenfield先生の長期安定した症例を直接目にしたことで、その拡大が長期的にも安定しうることを確信するに至った。
この経験は、固定概念にとらわれず、臨床的結果から治療哲学を再考することの重要性を改めて教えてくれた。
今後も保定後の経過を継続的に検証しながら、拡大後の長期安定をより確実に得るための研究と臨床的研鑽を続けていきたい。Greenfield先生が示した理念を礎に、機能的で安定した咬合を追求する姿勢を大切にしていきたいと思う。
アオシカ矯正歯科 青鹿 昌純