はじめに

日本非抜歯矯正研究会は、Norman Cetlinの非抜歯矯正治療、Raphael GreenfieldのCADテクニックををルーツとした、Molar Oriented Orthodontics (MOO)の研究と情報交換を目的とした研究会です。
もともとは、Greenfield の講習会の受講生による勉強会であり、有本(代表)、賀久、篠原が世話役となって、1997年6月1日に第1回の勉強会が開催されました。

当初、小臼歯非抜歯で審美性・機能性・安定性を失うことなく矯正治療を行うことはほとんど不可能と思われていましたが、拡大や遠心移動のテクニックを確実に使うことで、多くの場合、小臼歯を抜かずに治療することができるようになりました。
もちろん、矯正治療に伴う抜歯を全て避けることができるというようなことはありません。MOOテクニックであっても小臼歯抜歯が必要になることもあります。

私たちが、この方法で治療してきて気づいたことは、歯を抜かない、ということが目的ではないということ、歯を抜く診断をする前に臼歯の位置付けを確立するということの大切さです。
臼歯の位置付けを正すというMOOのコンセプトは、小臼歯抜歯のリスクを減らすのみならず、咀嚼機能や歯列の発達、真のアンチエイジングな矯正治療につながるもので、単に歯を並べるという意味を超えたサステイナブルな歯科治療の一環としての矯正治療を実現します。
MOOのコンセプトをさらに洗練し、様々な症例に適応できるよう、さらに研鑽を続けてまいります。

代表者からのごあいさつ

スーパースマイル国際矯正歯科 院長 賀久浩生
スーパースマイル国際矯正歯科
院長 賀久浩生

新しいものへの挑戦

我々の研究会はグリーンフィールドの研修会を通して共通の興味をもち、それをスタッフと共に患者さんに届けるということを目標に共に行動をして来た歯科医の集まりです。創設時のドクターは最初に出会ってから既に21年が過ぎようよしていますが、治療に対する哲学は変らなくとも、それを実践するテクニックはテクノロジーの進化により変化をして、今まで以上に短期間で予知可能な矯正治療が一層可能になって来たと感じています。
自分のオフィスで臨床だけしているだけでは得られない情報や経験を、この会を通してシェアしていきますので宜しくお願い致します。

医療法人スマイルオン矯正歯科 院長 篠原範行
医療法人スマイルオン矯正歯科
院長 篠原範行

新たな旅立ち

日本非抜歯矯正研究会を立ち上げてからもう19年が立ち、ことしの総会は第20回となります。グリーンフィールド先生に教わったCADテクニックは咬合の長期安定と患者の素晴らしい笑顔を求めて体系づけられた治療法であり、けっして患者迎合の単なる小臼歯非抜歯治療ではない、ということ当時の矯正歯科界にを示したい一心で研究会活動を続けてきました。

その間にさまざまな考え方や技術を取り入れCADテクニックはMOOフィロソフィーへと変わってきました。またその過程で国内外での一定の評価も得られるようになりました。
研究会立ち上げ当初に目指した頂きにはもう手が届きそうです。しかし思った通り、その向こうには多くの技術革新や新知見をともなって、新たな頂が見えてきました。 さぁ、この研究会を新たなベースキャンプとして、さらに新たな頂をともに目指しましょう。

医療法人イースマイル矯正歯科 院長 有本博英
医療法人イースマイル矯正歯科
院長 有本博英

サステイナブルという治療ゴール

1994年にグリーンフィールド先生の講演を初めて聞いてから、もう20年になります。当初はとにかくそのやり方をフォローして、非抜歯でできるのだということを証明するためにやってきたような気がします。
しかし、その過程でMOOという原則を発見したことで、大切なのは抜かないということではないということが理解でき、その後の矯正テクニックの進化をも取り込むことができるようになりました。

TADや歯周再生テクノロジーの応用、新しいブラケットや遠心移動装置による効率的な歯の移動、アライナーによる精密治療など、この20年間で矯正歯科のテクニックは大きく進化しています。これらの進化は、MOOの原則に則った治療をより簡便にし、より良い結果を得られるようになってきました。

そして、こうした治療を通じ、あらためて矯正治療の目的はなんなのか? ゴールはどこか?ということを模索し始めます。現時点でのその答えが咬合の初期化とサステイナブルな治療の概念です。
非抜歯治療 → CADテクニック → MOO → サステイナブルという流れは、これからの超高齢化社会でクオリティの高い人生を生きるための基盤となる歯科治療につながっていることを確信しています。